歯周病と不妊の関係性とは

■歯周病と不妊の関係性とは

歯周病といえば歯や歯茎に関わる症状です。しかし、放置しておくと全身疾患の原因になり得ることをご存知でしょうか。近年の歯周医学分野では、歯周病と全身疾患の研究が積極的に行われています。

歯周病を放置することで、糖尿病や心臓血管疾患などを患うリスクが上昇します。実はその他にも女性の妊娠率の低下、つまりは不妊症といったトラブルを招く原因になってしまうかもしれません。具体的には歯周病を患う女性の場合、そうでない女性と比べて「子宮内膜症」のリスクが高まるといわれています。

「子宮内膜症」のリスクを考える

「子宮内膜症」とは、本来は子宮にしか存在するはずのない組織(子宮内膜など)が子宮以外の場所にできる病気です。卵巣や膣、外陰部や膀胱、直腸やへそなど場所は多岐にわたります。別の場所にできてしまった組織は、本来の子宮の周期と同じような変化を起こします。

子宮であれば剥離した組織は月経となって外部に排出されるように仕組みができているものの、それ以外の場所の組織は排出しようがありません。そうなると体内に留まってしまい、それがチョコレートのう胞(または子宮内膜症性卵巣のう胞と呼ばれています)になったり、臓器との癒着を起こしたりと悪い影響を及ぼします。これらは排卵障害や着床障害を引き起こす原因となるのです。

では、なぜ歯や歯茎の病である歯周病が子宮内膜症へと繋がるのかというと、細菌が全身へと巡るからです。歯周病部分で増殖した細菌が血液と共に全身へと回っていきます。さらに細菌だけでなく炎症性物質も同時に巡り影響を与えていくのです。

細菌や炎症性物質は臓器に悪い影響を与える可能性が高いため、人によっては子宮にも何らかの影響を与えると考えられています。

2009年には歯科研究グループが2664名の妊婦に対して子宮内膜症に関する調査を行いました。その結果によると、子宮内膜症の妊婦とそうでない妊婦を比較した際、内膜症を患っている妊婦は歯周病も同時に患っている率が1.57倍であったと報告されています。

妊娠を望む、または将来的に可能性のある女性にとって歯周病は放置してはいけない病なのです。さらに追い打ちをかけるように「歯周病は男性よりも女性がかかりやすい」 というデータがあります。

歯周病と女性ホルモンとの関係とは

実は歯周病は女性ホルモンと密接な関係があります。女性ホルモンは特定の歯周病菌の増殖を促進したり、組織の炎症を悪化させたりといった作用があるのです。女性ホルモンは人生のうちで思春期・妊娠や出産・更年期の3回に大きく乱れるといわれ、歯周病はその時期に発症する確率が非常に高まります。

大きく乱れるのは3回ですが、そのほかにも「不規則な生活」「ストレスの多い環境に身をおく」「過激なダイエット」など、ホルモンバランスが乱れる場面は多々あります。そうなると自然と歯周病のリスクが上昇してしまうでしょう。

歯周病を放置しても症状が出る場所はさまざまですし、人によって程度は異なります。そのため、歯周病を放置することイコール必ずしも不妊症になるとは言い切れません。また、子宮内膜症を患っていても妊娠をしている女性は大勢います。しかし、放置している以上はリスクを背負うことになるでしょう。

歯周病は不妊症の原因になり得ますが、実際にめでたく妊娠をした際にも切迫早産や低体重児を出産するリスクが高まるというデータが出ています。未来のためにもできるだけ早期の治療が重要といえますね。